2015.12.12 田原酒造奮闘記
仕込み後、約2週間、ふつふつと発酵(醸造)が進みます。
日本酒の発酵(醸造)は、「糖化」と「アルコール発酵」がタンク内で同時進行していき、アルコール度数が約17~20%近くと高くなっていきます。
このアルコール度数、酸度、糖度を変化をみながら、絞り込みの時期を決めるのです。
「いよいよ今日は搾ります」と連絡が入ったので、見せていただきに行ってきました。
田原酒造奮闘記ニュース2回目のご紹介です。
田原酒造奮闘記ニュース1回目はこちらから。
→2015.11.14 田原酒造奮闘記ニュース
出来上がった醪(もろみ)を、酒粕と液体にわけるために搾る作業を上槽(じょうそう?)といいます。
搾り方はいろいろあり、機械でごっそり搾るメーカーもありますが、田原酒造は「槽による搾り」です。
今回搾る「純米大吟醸」のタンクがこれ。 このタンクには5000リットル入りますが、今回は2500リットル。 すでに2割近くが処理されていました。 お酒の匂いがム~~ンと漂います。大吟醸の香り。 |
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このタンクの下の方から取出し、上槽作業場までホースで送り込みます。 |
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ホースが詰まらないように、適度にタンク内を撹拌しながら、空っぽになるまで送ります。 |
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上槽の上で、特製の布袋に醪(もろみ)を6分目くらい入れます。 |
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そして槽(大きな浴槽)の中に一袋ずつ寝かせ敷き詰めていくのです。 槽が深いので、始めのうちはからだを半分ひっくり返らせての作業になります。 |
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この槽では1000リットル搾れますが、大きなタンクを搾る場合は、こんな外枠をさらに積み立てて、最大3000リットルくらいまでを一回で搾るそうです。 |
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袋を寝かせ敷き詰めていくと、下にある袋は上の袋の重みで押しつぶされ、敷き詰めていくだけで袋からお酒がにじみ出てきます。 槽の下には抜取口が付いていて、搾り出されたお酒が出てきます。 これぞ袋しぼりの真骨頂! 布の粗さで搾りを早くできますが、その分搾ったお酒に滓(おり)がたくさん出ます。 この布袋も田原酒造の独自の道具です。 搾るタンクが変わるごとに、袋を洗浄しなおすという手間がかかりますが、美味しさには必須です。 |
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最初に出てくる液体(お酒)は「あらばしり」と呼ばれ、香気の高い液体です。 少し濁っていて、色も少し黄色っぽいみたいです。 袋から滲み出てきた一番旨みのあるところです。 今回の純米大吟醸酒「あらばしり」は、もう嫁ぎ先が決まっている希少価値。 残念でした。 醸造酒で作ったあらしばりが「雪鶴 しぼりたて生原酒」という商品です。 あらばしりを味わいたい方、お試しあれ。 →雪鶴しぼりたて生原酒 |
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槽の下の抜取口からは、袋の自重でどんどん搾り出されてきます。 受取槽はそれほど大きなものではありません。 ある程度の量が溜まると、センサーが判断し、自動的に吸上げられ貯蔵タンクに移されます。 漕は、満杯のタプタプの袋詰めで埋め尽くされました。 |
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自重で出てこなくなったら、上からプレスします。「攻め」といいます。 仕事を急いで攻めを早めると、雑味が出ますって。 お酒って敏感ですね。 スピードと負荷の限度も大切です。 |
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嫁ぎ先が決まっているあらしばりは、早速壜詰めにかかります。 はい、1800ミリリットル60本完成! |
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搾りかすは、袋から取り出され、酒粕(さけかす)として利用されます。 お酒のできる量に対して、酒粕の量は半端な量ではありません。 関西は酒粕文化があるので、意外と重宝されるようです。 今日は、20Kgの箱詰めで20箱出荷されました。 何でも出荷先は京都伏見。 えー?「京都伏見の酒粕です」とか云って、転売している業者でないの、と疑っちゃうな。 |
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酒粕は、お酒を飲まない方でも喜ばれますよね。 酒粕が必要な方、「大量でも送れます」って社長が言ってます。 |
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今回は特別に、1キログラムの酒粕を頂きました。 →田原酒造蔵元直詰「酒粕」1キログラム |
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最後の1枚は、搾る前の純米大吟醸のふつふつとした仕込みタンクの中を、思い出しながら。 |