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黒姫山(くろひめやま)



飛騨山脈(北アルプス)の北端で日本海に最も近く高い山が黒姫山(1221メートル)です。
黒姫の名前を持つ山は近くに三山あり、ここの青海黒姫山、刈羽黒姫山(980メートル)、信濃黒姫山(2053メートル)です。

黒姫山は、化石を含む地層で「青海石灰岩」と呼ばれ、全山石灰岩からなる独立峰で、日本三百名山に数えられます。
南洋のプレートが移動して運ばれてきた3億年前のサンゴ礁で出来上がった石灰岩の山です。
黒姫山の北側山腹には、日本で最深の白蓮洞(びゃくれんどう)をはじめとする竪型洞窟があり、カルスト地形はマイコミ平という名称で糸魚川ジオサイトに登録されています。(入山規制があり年間を通じて定められた日数のみ観光可能です)


昔から、奴奈川姫ゆかりの地として山そのものが神体化され、地元民から崇められてきました。
黒姫山は日々の生活の中に溶け込んでおり、今日の様子はどうだろうかと仰ぎ、天候の判断材料にしている山でもあります。


山頂はゴツゴツの石灰岩で歩きにくく、落雷で破壊された祠が再建され、近年ヘリコプターで移設されました。




山頂から見渡せる糸魚川市の町並みは日本海沿いに広がり、非常に美しい景色です。


黒姫山への登山ルートは、現在は「清水倉ルート」のみです。所要時間は登り4時間、下り3時間で、道は細く、ロープが連続する急登です。
・携帯電話(NTTドコモ)は山頂からのみ通信可能です。
・クマ・イノシシ・サル等の野生動物が出没します。鈴など音のでるものを携行してください。
・水場は標高800mの「金木平」にあるが、夏7月には涸れます。飲料水は必携です。


石灰岩がもつ化学成分を利用して化学工業が発達し、大正5年に電気化学工業株式会社青海工場が開設され農業用肥料の石灰窒素の生産を開始します。
さらにアセチレン系有機化学の分野、セメント分野、スチレン系事業、機能性樹脂、樹脂加工製品、電子・機能材料、特殊混和材、医療医薬品など多岐にわたる研究開発で成長したのが現在のデンカ株式会社です。
姫川河口に、姫川港が作られるようになったのもセメント工場の影響が大きいでしょう。


そもそもの原資は黒姫山の石灰岩であり、切羽も徐々に拡大され、山容の変化が際立ってきているのが心配です。


私たちの生きている間は問題にならないのかもしれません。でもいつかそのしっぺ返しがきます。
それは、排気ガス、地球温暖化、ゴミの廃棄や焼却、放射性物質の廃棄も同じこと。リサイクルが効かないことは破壊ですよね。

今日もいい一日だった、見上げると黒姫山もゆったりしている。
わが町の黒姫山はいつも堂々と見守ってくれています。


まるで「山」という漢字にぴったりの山容は少し海側に傾いているかのように見えます。
祠のある最高峰1221mは向かって左側。中央と右側の頂きへの道はありません。


大相撲の元関脇「黒姫山」の田中秀男(たなかひでお)さん(2019.4.25逝去70歳)は、立ち合いの強烈なぶちかましからの押し相撲で「デゴイチ」の異名を取っていましたが、新潟県西頸城郡青海町(現糸魚川市青海町)の出身です。


また、平成三十年五月場所を初土俵とする現在境川部屋の「田中山」の田中虎之介(たなかとらのすけ)さんは黒姫山のお孫さんにあたるとか。
将来は四股名を黒姫山にするかもしれません。
糸魚川は「相撲の町」としても有名です。能生中学校相撲部や新潟県立海洋高校相撲部は全国大会出場レベルの強さですし、昔ながらのこども相撲大会が毎年開催され、女子の部の取組みもあったり、大相撲をウンチクされるお年寄りファンも多いようです。
夏巡業で大相撲糸魚川場所が開催されることもあったり、この地は熱血の町なのです。


糸魚川市地図(黒姫山)


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