ひすい海岸、えちご押上ひすい海岸駅
糸魚川駅で下車し、南側出口が「アルプス口」、北側出口が「日本海口」。日本海口を出て、そのまま北に向かって歩けば、200メートル先に日本海があります。
北陸新幹線で日本海に一番近い駅が糸魚川です。
海岸線に並行して走る国道8号線の向こうには、テトラポッドが埋め込まれ、道路間際まで海水が打ち寄せます。
かつては海岸線まで百メートル余りの砂丘がありましたが、昭和40年(1965年)頃から海浸が進み、今や砂浜が見えないまでに浸食されてしまいました。
下は砂丘が消え、小石の浜に変わったころの海岸線のようす
小さな展望台があるので登ってみましょう。海岸線を見おろし、逆方法にそびえる越後山塊や北アルプスの山々を見上げると、この街の空気に少し浸ることができます。
駅前から富山(西)方面の海岸線はほとんどありません。テトラポッドのみで姫川港まで30分歩くことになります。
駅前から上越(東)方面の海岸線はわずかばかりに名残があり、徒歩30分の押上地区では砂浜や小石がびっしりの海岸が楽しめます。
「押上西(おしあげにし)」交差点の近くに「ひすい海岸」の大きな看板が立ち、長野方面から訪れる人の自家用車で賑わいます。
人々は、海を楽しみ、釣りを楽しみ、石拾いを楽しみ、日本海に沈む大きな太陽に感激します。
糸魚川の海岸には、フォッサマグナの西側に当たる北アルプスの3億年前の岩石や、3千年前の造山活動の岩石が、日本海に急降下する河川により運び込まれます。
このため多種の岩石が見つかります。
色も形もさまざまで、ヒスイ峡から流れ込んだ国石(日本の石)の「ヒスイ」も採集できる海岸です。
激流にさらされ、日本海の荒波にもまれた小石は、適度な丸みを帯び海岸線に蓄積します。
↓まあるい、お餅のようななめらかな石
珠玉と呼ばれる天然の宝石が巻き散らかされ、石たちは光り輝いています。
北アルプス、フォッサマグナ、急勾配の河川、日本海の荒波の条件が揃うことで、日本一の海岸線がここにできています。
出雲の大国主命が、珠玉(ヒスイ)を求めてこの奴奈川(ぬながわ)の里に、船団を組んでやってきたといいます。黒姫山を目当てに、姫川を越え、遠浅の船着き場に適した押上・寺町海岸に乗り入れたのか。
ここに船を押し上げたことから、押上浜の名前が付いたとか。
令和3年(2021年)3月13日、押上浜の近くに新駅が開業します。
えちごトキめき鉄道会社の運営する、「日本海ひすいライン」の線上、糸魚川駅と梶屋敷(かじやしき)の中間、「えちご押上ひすい海岸駅」という長い名前の駅です。
新駅が開業するまでに20年かかりました。この間に地域・経済・交通が変わり、現在は駅の有効性を疑問視する声もあります。
登り/下りのホームが対面になっておらず離れていることや、駅員のいない無人駅であることなど、簡素で不思議な駅です。
糸魚川駅から1区間、乗車時間も5分程度で新駅に到着することができます。
時間を惜しまず、ゆっくり旅を楽しむ方には、楽しいウォーキングコースになります。
新駅から徒歩5分で「ひすい海岸」、
徒歩10分で日本酒蔵元「田原酒造」。酒蔵見学、試飲・購入を楽しんでみては。
【アクセス】
糸魚川駅から日本海ひすいラインを利用し「えちご押上ひすい海岸駅」まで5分
糸魚川駅から車で10分
糸魚川駅から徒歩で30分
ひすい海岸には駐車場はありません。
国道8号線海側の側道に多く駐車していますが、台数制限もありお奨めできません。
国道8号線の押上西交差点角にコンビニエンスストアがありますが、購入者のための駐車場ですのでご迷惑にならないようにしてください。
海岸に行くには、「ひすい海岸」の看板の出ている場所に国道8号線をくぐる地下通路があります。
地下通路には近くの小学生たちが描いた海の絵画が並んでいます。押上ギャラリーもお楽しみに。