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能生・白山神社の春大祭

白山神社春大祭は毎年4月24日、豊年、豊漁、商売繁盛を祈願して行われます。
白山神社

9時過ぎ、すでに御神嚮(ごじんこう)と呼ばれる獅子舞が始まっています。
御神嚮の前には「七度半の使い」と呼ばれる儀式が午前8時頃から行われ、「神々のお出ましをお願いする」口上と所作を七度に渡って繰り 返します。 これをおこなうことでようやく神様の出発が叶うのだそうです。
先頭をいく露払いの獅子舞は笛と太鼓に合わせ力強く舞います。
一体の獅子を二人で纏い、約20名の若衆達が順次入れ替わりながら舞い続け、行列を先導します。
白山神社春大祭 獅子舞

そのあとを3台の神輿。一の神輿(いざなぎのみこと)、二の神輿(ぬながわひめのみこと)、三の神輿(おおなむちのみこと)が続きます 。
白山神社春大祭 神輿

そして旗、花竹、刺又、槍、道具箱が続き、うしろに稚児の列が続くのです。
白山神社春大祭 稚児の列

動きのあるのは先導する獅子頭一体のみで、うしろは静やかに、厳かに、神々を乗せて進みます。
御神嚮は、約3時間もの時間をかけて続けられ、200メートル足らずの境内を2廻り半する程度のスローペースなのです。

正午になる頃、ようやく御神嚮打ち止めとなり、神輿は所定の位置に留まり、「お走り」の待ち体制にかかります。
境内はそわそわしだし、神輿が上下に揺さぶられジャラジャラと鳴り響き、張り詰めた雰囲気に包まれます。

スタートすると見せては中止することを何度も繰り返すので、境内は息を詰めるのと、ため息があふれ返ることが10回以上。
いよいよ三の神輿の合図とともに一気に走りだし、獅子は拝殿に、稚児は楽屋に、神輿は御旅所(おたびしょ:お祭りのために神様が仮にと どまるところ)になだれ込む「お走り」です。
「お走り」の写真は、息をのんでいるうちに過ぎてしまう、あっという間の出来事です。下記のURLで写真がご覧になれます。
能生白山神社春大祭「お走り」→

「お走り」が終わると、拝殿と御旅所の間に橋を渡し、神様へのお供えを運ぶ「供神撰(きょうしんせん)」
6名の社人が3回の往復で楽の音に合わせてお供えをします。
お供えが済むと、祭礼の準備が整ったことになり、いよいよ舞楽奉納になります(午後1時頃)
国指定重要無形民俗文化財の舞楽の一番は「振舞(えんぶ)」であり、舞台を祓い清める舞です。

2.候礼(そうらい):稚児4人。指を狩衣から出さず、剣印を結んだ指先で袖先を伸ばす、静かで優雅な舞。

3.童羅利(どうらり):稚児1人。最年少の稚児による短い舞で、最後に「あかんべ」をするらしい。

4.地久(ちきゅう):稚児4人。

5.能抜頭(のうばとう):大人一人。手に撥(ばち:武器のたとえ)を持ち、軽快にしかし、体力の要る力強い舞。
白山神社春大祭 能抜頭(のうばとう)

6.泰平楽(たいへいらく):稚児4人。出鉾の舞、徒手の舞、鉾の舞、太刀の舞と長時間にわたる舞。
白山神社春大祭 泰平楽(たいへいらく)

7.納曾利(なそり):大人2人。前半は「破」の舞。後半は「急」の舞。雌雄の竜が楽しげに舞遊ぶ「双竜の舞」と呼ばれます

8.弓法楽(きゅうほうらく)

9.児抜頭(ちごばとう)

10.輪歌(りんが):稚児4人。「前の手」、「肩の手」、「腰の手」の舞。最後は1列になって楽屋に戻ります。
が、稚児の最後一人は楽屋に容易に戻されません。
何度も舞を強制され、最後に稚児は半泣き状態になるのです。
このときすでに幕際には陵王が座して出を待ちかまえています。

11.陵王(りょうおう)
4時間半をかけて10種の舞が披露された午後5時半。いよいよ陵王が登場します。
いつのまにか人があふれ、輪歌の最後の一人が楽屋に入ると同時に、瞬時に楽が変わり、緋の色の「陵王」が飛び出てきます。
夕日(アマテラス)の射し込む時間、頭部に竜をつけた吊り顎の陵王面、
赤熊(しゃぐま)を被り緋チリメン狩衣に緋緞子の装束。
橋懸りに現れると、境内騒然となり、「りょうお~う」の声があちこちからあがります。
白山神社春大祭 陵王(りょうおう)1

動きは緩やかに見えますが、まるでスクワットを繰り返すような中腰
伸び上がった状態でも足が交差しており、生半可な平衡感覚の人にはまずできません。
左足を踏み込み、中腰に屈んだ状態で、左から右をねめまわすようにゆったり向きを変え、ときに「烏跳び」や「千鳥掛け」などの舞。
舞台中央でおこなう「日招きの舞」は、太陽が沈まぬような呪術の意味をもつともいわれ、
観客の目が陵王に集中し、一同が神がかりのようになります。
白山神社春大祭 陵王(りょうおう)3

たんたんと繰り返される舞に引き込まれるうちに、あたりは暗くなり、橋懸りに群がる人たち。
早く舞を終わらせてあげたいような気持ちと、まだまだ陽は落ちないからもっと続けてくれという混濁した状態。
舞を初めてから1時間が経過した午後6時30分近く、
陵王が橋懸りを飛び越える「走り込み」を一目観ようと観客は殺到。
待機する氏子総代に抱きかかえられるように橋懸りを跳び越え倒れ込む陵王。神がかりが抜け落ちた肉体。
直後、楽は急テンポになり、橋懸りが取りはずされ、祭りは終わりに向かい動き出します。

能生白山神社春大祭「陵王」の舞をもっと見る→

能生白山神社春大祭 舞楽についてもっと見る→

神霊還御(しんれいかんぎょ:御旅帰り。神様がおかえりになること)
橋懸りがはずされると、御旅所にある3基の神輿はすごいスピードで拝殿に担ぎ込まれます。
神様がお祭りを終え還られたのです。
その後、神輿は外へ持ち出され、拝殿前で上下に揺すぶられ、さらに御旅所の前で再度上下に揺すぶられる。
無事に祭礼が済んだことの歓喜の爆発。稚児も担ぎ出され両手をかかげ喜びを表します。
3基目の神輿は御旅所の前で、50回に及ぶ上下動を果たし、どよめきと拍手が湧きあがるのです。

陽は落ち、観客は余熱を含み、帰途に。

能生白山神社春大祭「神霊還御」をもっと見る→

能生白山神社HP→

4月24日は夕刻まで春大祭を楽しみましょう。まだ少し寒いでしょう、防寒対策も忘れずに。
北陸新幹線を利用されると都会へはその日のうちに戻れますが、糸魚川の夜に浸るのもいいですよ。
糸魚川にきない!

【アクセス】
・車の場合 :北陸自動車道「能生IC」より5分、「糸魚川IC」より25分
       駐車場は、弁天岩近くの特設駐車場をご利用ください。
・電車の場合:えちごときめき鉄道能生駅より徒歩約15分
所在地  〒949-1352 新潟県糸魚川市大字能生7239
問合せ先 糸魚川市観光協会能生支部 TEL. 025-566-2244
能生案内図

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