2016.5.29 海のウェストン祭と白鳥山山開き
英国人宣教師ウォルター・ウェストン氏は、1888年以降に3度来日滞在し、日本各地の山に登り『日本アルプスの登山と探検』などを著しました。 日本アルプスなどの山及び当時の日本の風習を世界中に紹介した登山家で、この北アルプスを発見し、日本近代登山の父と言われる人です。 日本の山を世界中に紹介したことなどを称えて、日本の各地でウェストンの記念碑、レリーフなどが設置され、山開きの時期に「ウェストン祭」が開催されています。 長野県上高地では、1947年から「上高地ウェストン祭」が開催されています。 | |
糸魚川市では「親不知(おやしらず)が日本アルプスの起点である」として訪れたウェストン氏を讃え、「海のウェストン祭」が毎年開催されています。 またこの日集まった登山愛好家たちは、栂海新道(つがみしんどう)の北端にあたる白鳥山(しらとりやま)山開き登山を行います。 |
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1988年に親不知コミュニティーロード(市道天険親不知線)にウェストンの全身像が設置され、1989年から海のウェストン祭が始まりました。 ウェストンの全身像があるのは糸魚川市だけだということです。 今年(2016年)は、「第28回海のウェストン祭」。 | |
カタクリクラブ主催のこの行事は、オカリナ演奏で始められ、安全登山祈願祭を行います。 |
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会長ごあいさつ | |
今年は栂海新道(つがみしんどう)を拓いた故小野健氏を讃え、銘板パネルが除幕されました。 パネルには以下の内容が刻まれています。 『 栂海新道開設者 小野健氏 経歴 1932年 福島県いわき市生まれ 1956年 早稲田大学利己央学部鉱山学科卒(工学博士) 電気化学工業株式会社青海工場原石部入社 1961年 さわがに山岳会結成 1971年 「山岳野郎の青春」出版 1972年 山と渓谷社山岳賞受賞 1979年 青海町議会議員(~1995年) 1985年 新潟日報社文化賞受賞 1988年 「栂海新道その自然」出版 2000年 環境庁長官受賞 2001年 「栂海新道開拓40周年の回想」出版 2003年 山と渓谷社山岳環境賞受賞 2004年 NHK地域放送文化賞受賞 2005年 藍綬褒章受賞 2007年 「糸魚川の自然を歩く」出版 2010年 「栂海新道ものがたり」「栂海新道を拓く」出版 2014年 没 享年82歳 1962年から10年の歳月をかけ、親不知から朝日岳までの約27㎞を結ぶ「栂海新道」を切り開いた。 「栂海新道」の開設により、0mから3000mのアルプスまでが繋がった縦走路は、地形・地質・植生等自然資源の宝庫でもあり、多くの登山者が訪れている。 糸魚川市 』 最後にオカリナの調べが親不知コミュニティーロードに流れ、穏やかな朝に式典は終了しました。 いざ、坂田峠まで車で移動です。 |
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親不知コミュニティーロードから坂田峠登山口まで車で約30分、標高611mまで登ります。 本来の栂海新道の親不知登り口から歩き始めると、白鳥山まで約4~5時間かかるというのですから、ずいぶん助かりました。 こちらが本来の栂海新道の親不知登り口 |
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08:20車を降りて登山開始です。200mも歩かないうちに、金時坂に入ります。 坂田金時(おとぎばなしの金太郎)もびっくりという急坂が、まだ歩き慣れないうちから始まります。 | |
各自マイペースで一本道を登って行くのですが、気が入ると頑張ってしまいます。 一気に汗が流れ出てきます。 09:10短い休憩を含み、およそ50分で水場に到着。まわりに雪渓も残っています。 |
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雪渓の上は涼しい。 | |
シラネアオイが咲いています。 | |
ここまで登ると、あとは比較的緩やかな道のりです。 |
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脇に残る雪渓の冷風が気持ちよく、晴れたり曇ったりの山行は緑がいっぱいで気持ちいい。 カタクリが残ってます。 | |
イワカガミ | |
左手には、はるか焼山や火打山が見えます。焼山は噴煙が見えません。最近は少なくなっています。 手前は明星山かな? |
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山頂小屋(白鳥山荘)が見えます。 | |
後ろから見る黒姫山の左手には糸魚川市内がかすかに見えます。雲がかかっているのが残念です。 |
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10:30歩き始めて2時間、山頂に到着です。 白鳥山山頂には立派な2階建ての山荘小屋が建っています。 | |
標高1286.9メートル。ここから日本海までの下り4時間、犬ケ岳の栂海山荘まで上り3時間の標識。 一応記念写真。 |
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登山道の整備もしかり、山頂小屋の設備もしかり。白鳥山荘を保全される人たちの力を感じます。 山荘には、しっかりした手すり階段が設けられており、山荘屋上の展望台まで登れます。 ここが一番高いところだと言われ登りましたが、高所恐怖症のわたしは足が震えました。 | |
さらに北を望めば、犬ケ岳や、まだ残雪の朝日岳が見えます。 この山の縦走路が栂海新道なんだな。 |
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少し西に目をやれば立山連峰や、雲に覆われる白山も望めました。 | |
地元長野屋さんの銘菓「栂海新道」が参加者に渡されましたので、いただきまーす。 当ショップでも購入できます。→銘菓「栂海新道」 包装紙の文字は故小野健氏に書いていただいたとのことです。 |
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11:15下山開始。タニウツギが満開です。 | |
タムシバ(別名ニオイコブシ)も空に映えます。 | |
12:15水場到着。残雪を渡りひたすら下りです。 |
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13:10駐車場到着。
急ぎ過ぎましたね。もう少しゆっくり山頂に居ればよかった。 金時坂の下りも辛かった。ふぅ~、お疲れ様。 栂海新道のとっかかりを歩いたという感じでした。そして、とてつもない登山道なんだと判りました。 最近は観光バスを連ねて、「雨飾山登山」がブームになっているらしい。 栂海新道の登山客は年間600名くらいなのだといいます。 荒らされていない登山道ですが、極めて健脚向きのコースだからなのでしょう。 山荘を泊まり歩いて、白馬岳~親不知(3泊4日)、朝日岳から親不知(2泊3日)のコースだといいます。 一人では行けないが、歩く機会があれば歩いてみたい。 そんな想いを残して無事登山を終えました。 | |