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2013.10.27 マイコミ平ツアー~糸魚川世界ジオパーク~

糸魚川ジオパークは24のジオサイトに分類されているが、なかでも新潟県自然環境保全地域の特別地域に指定されている「マイコミ平」は、年間100名しか入山許可が与えられない、秘境のサイトです。
同時に、この場所は明星セメント会社の敷地であり、石灰岩の発破採掘場を通過するため、一般者の入山は禁止されています。
かつて若き頃、この地を訪ねてみたいと自転車に乗って向かったことがあったのですが、今思えば町からほんのわずかしか登らなかったことに気が付きました。
あれから40年が過ぎ、このような機会に巡り合えるとは想像もできなかったのです。

糸魚川世界ジオパークの認定とともに、定員20名の企画「幻のジオサイト マイコミ平ツアー」がはじまり、この2年間に年5回のツアーが開催される中、ようやく10月 27日実施のツアーに参加できました。
ツアーの同行サポート案内の宮島学芸員さんの丁寧な解説により多くの知識も得ました。それも含み「マイコミ平」をご紹介ご案内します。

注記)
→世界ジオパーク
→日本ジオパークネットワーク
→糸魚川ジオパーク
→マイコミ平ジオサイト

マイコミ平は糸魚川市内から眺める黒姫山の左肩の手前ふもと付近にあり、田海川(とうみがわ)の源流を作り出す山峡にあります。
古生代の石灰岩からなる黒姫山近辺は長い歴史の中で1000メートルの隆起と雨水の浸食で特異なカルスト地形を作りだしました。ここにできあがったポリエ(溶食凹地)がマイコミ平です。
この大きなポリエが標高700メートルの台地にどでーんと広がっています。
自然保護されるこの台地は多くの樹木で覆われており、カレン ( 犬牙状 )、ドリーネ ( 擂り鉢状凹地 )、ウバーレ ( ドリーネの集合地 )、ポノール ( 流水の吸込口 )、ポ リエ ( 皿状の平坦地 ) などと専門用語で呼ばれる地表面の溶蝕形態と、地下深部に延長して縦型の洞窟から横型の鍾乳洞が埋め込まれており、調査し尽くされていない場所なのです。


いざマイコミ平へ


浄土門
山峡に深入る手前にあり、両側から迫る山はまるで門のように見えます。ここを「浄土門」と呼んでいます。

マイコミ平の入り口に位置して、石灰岩がU字形に浸食されたこの土地を表す典型的な景色です。

この世からあの世への入り口だとか。

私は今からあの世に入るのか...


マイコミの語意は「巻き込まれる」だとか。「迷い込む」の意味で富士山樹海をイメージし、二度と戻れない場所なのだと 勘違いしていたのですが。
この台地の沢水にとっては逃れられない場所が「大マイコミ」と呼ばれるポノール(大穴)です。
多量の沢水が、岩の間に吸い込まれていき、ここで川が途切れています。

「小マイコミ」と呼ばれる場所では、吸い込み口に太い枯れ木が引っかかり、枯葉が埋め尽くされていましたが、ガイドの人がその一本を取り除くと、ゴウゴウと渦をなし、足元の枯葉が吸い込まれていきました。

今立っているこの場所は、どこまでが安全なのだろうか。

あるときはごっそり窪地であり、あるときは枯葉の山になっている。そんな繰返しを何億年にもわたって繰り返しているなかに、ぽつんと自分が立っている。

なんと小さな。

大マイコミ


サワグルミの樹木
マイコミ平の凹地中央の変形したサワグルミの樹木は、この山の積雪の深さ厳しさを伝えてくれます。
雪に押しつぶされながらも、負けずにゆっくりゆっくり伸びてきた成長の記念です。
積雪量を越える高さまで成長できると、真っ直ぐに天に向かって伸びています。


平に流れる小川は、前日からの雨で増水しており、これを渡るために、石を投げいれ足場を作り、枝を手すりに手つなぎして、ようやく渡渉ができました。

この多量の雨水も、大マイコミにすべて吸い込まれて、一滴の水も残りません。


増水した川を渡渉


通天洞の入り口

通天洞
ドリーネの脇の細道を昇り下りし、「通天洞」と呼ばれる入り口に向かいます。

その入り口は身の丈3倍以上、中は急斜面で少し登ります。

ポッカリ天を覗ける穴に辿り着きます。

これが通天洞だ。
高さはどれほどだろうか。

この穴を作り出した張本人の雨水がパラパラと頭に降り注いできます。
偉大な自然の力と何億年をもかけて形成されてきた時間の長さに驚きます。


さらに昇り、はしごを使って降り、ロープを伝い上り下り、ようやく「千里洞」に着きます。

えっ?この穴は東京タワーの高さより深い?
ここは下方向の竪穴洞です。枯れた感じの洞窟ですが、深さは405メートル、日本第2位の深い洞窟です。穴を覗きこむことしか許されませんが、深さ100メートルの地点には雪渓があり、夏でも冷気が漂い、氷河期の環境を残しているとか。

1967年関西大学探検部が調査・発見したのですが、あわや遭難事故となるマスコミ報道が起こり、以来マイコミ平は入山禁止、封印されたのです。
千里洞の探検調査記録が以下のページに掲載されています。必読の価値あります!
→日本洞穴探検協会「代表的な探検 日本最深・青海千里洞 関西大学探検部」

千里洞を覗く


白蓮洞
さらに、登ると最奥に「白蓮洞」と呼ばれる竪穴洞に着きます。
沢水が滝のように流れ込むシャーシャーと音がするのですが、音が吸い込まれていくのです。
反響が無い。

この洞は深さ513メートルで当然日本第1位の深い洞なのです。

標高700メートルの高台にあるマイコミ平で巻き込まれた水は、どのような水路を巡っているかは定かではないらしいの です。
はるか3.5キロ下流の「福来口(ふくがくち)」に「青海八景 福来口早春」の立札がありますが、横穴鍾乳洞を伝ったマイコミ平の伏流水がここで吐き出されます。
この水が田海川の源流であり、ここから地表に現れた川となり流れがはじまり日本海に注ぎます。
何気なく眺める地図でも、田海川の始まる位置と、マイコミ平の位置関係をみると、相当の距離の地下水脈があることが判ります。


福来口から地下水が吐き出される

伊豆大島では台風26号通過で大変な被害となりました。その直後同じルートで27号が接近し全島避難勧告発令など厳しい時期でした。
25日まで近畿も相当量の雨と風があり、27日のツアーは中止になるかもしれないと危ぶまれました。
小雨降る朝、ツアーがはじまり、午後には一瞬陽が差して、足元は悪いが予定通りのコースを辿り、ツアーは完了しました。
中高年の参加者が多く、フーフーハァハァの方もいらっしゃいましたが、全員無事帰還です。
よかった。

春の残雪の残るマイコミ平は、また違う景色を見せてくれるのだろうな。
山はいつも思わせぶりで、「またおいでよ」と声をかけてくれるように思えるのは僕だけかな。

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